full1991’s blog

備忘録 〜忘れたくても思い出せない〜

アキレス最後の戦い

旅立たなければならないと彼らが告げたのは4月の朝だった。

振り向くと微笑を返したあなたに、どうしてNOと言えるのだろう。

いつも夢に生きることが楽しみのすべてだった。

ああ、よろこびを歌うのは、我々が再び帰ることができたとき…。

彼らは私を振りほどき、生還の望みがない人たちの列へ。
寂れた街でこの一年に見たのは、悪魔たちの穴ばかり。
ああ、砂の大地と想像もしえない日々へ旅立つのか。
ああ、夢に触れようとしても、もう瞳には何も映らない。

太陽の南へ北へ、金の財布という欺瞞へ。
地面に置かれた砲列。妨げの数々が困難さを物語る。
ああ、風に乗り、空を踏みつけ爆音の上へ行けたなら…。
ああ、大声で笑い、踊りながら軍勢の向こう側へ行けたなら…。

先遣隊が指す先には、巨大な軍隊の進行。
欺く硝煙が我々の足を岩陰へと導く。
もし少しでも物音が響けば、それは王のための福音だ。
誇り高く響く重厚な足音に、肝を冷やさずにいられない。

過酷な日々が続き、誰も彼も永遠の夏の輝きを夢想した。
けれど遠く離れ、目指すには疲れすぎていた。
ああ、甘い記憶は魂を清め、傷を癒す。
ああ、私は捨てられていくのか?いまは再起のために眠るのみ…。

彷徨い、彷徨って、そこはたしかな休息の場所。
アキレスの力強い腕よ、地上の天国をお守りください…。

雨が降る。雨が降る。雨が降る…。

アキレスの力強い腕よ、地上の天国をお守りください…。

 

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